雨の日 ネガティブのお供に。 何も感じないかもしれないし、ひょっとしたら何か感じるかもしれない。 ショート物語。 〔雨の日〕 雨の日。人生生きていると雨の日がある。 ただの雨の日かもしれない。またどしゃ降りの日かもしれない。嵐の日かもしれない。台風もやってきた。 いつまでもいつまでも止まない雨が私を苦しめる。そういう気持ちになる日が、日々があるかもしれない。 そんな時は、梅雨入りだと。梅雨に入ったんだと思ってはどうか。 いつか梅雨は明ける。必ず明ける。明けなかった年があるかい？ そんなただ前向きな気持ちじゃない。 ひょっとしたら気候変動、天変地異、はたまた世界の終わり。 梅雨明けなどしないまま私の人生が終わるんじゃないか。 そんな不安だってあるだろう。時として諦めにも似た。 だけどこの“梅雨”は違う。 目に見えないから。私の中のものだから。誰からも見えない、私だけの。 しとしとと降り続く雨。ふと小降りになった、かと思えば、急に雷雨になる。 その雨粒、雫は時に、私の中から道を駆け抜けて表へ出る。それは誰かに見られることもあれば、誰からも見られることなく、ただ私自身が鏡と向き合ったとき、うつ向いたとき、手で触れたときに感じられることもある。 また、いつまでも表へ出ることなく、貯水タンクなど作ったつもりもないのに、いつの間にか溜まった雨水雫。 気付いたら泥が混じっているかもしれない。よく目を凝らすとキラリと光る金貨があるかもしれない。 だけど、この溜まった水のカタマリは自分だけではどうしようもないかもしれない。 雨は私に降りかかる、私だけに。私だけを濡らし、冷やし、凍えさせる。 しかしこの雨は私に降っている。私を苦しめる雨は私のために、私だけのために降っている。 誰にも見向きもせず、天から空から、ただ私一点だけを見て、見つめて、降り注ぐ。 「こんなに降ったって私は花を咲かすこともない。ただただ栄養分が流れて行くだけ。朽ち果てるかもしれない」 そんなことを思ってもお構い無しに降る。遠慮なく降る。容赦なく降る。 いつ止むのかわからない雨。止むことを願った。願ったことを忘れるほど時間が経ってしまうかもしれない。 いつかいつか、そうなる前に。もしそうなったとしても。自分自身が気付いたその時に、 誰かに教えてもいい。 「今雨なんだ」 雨が降っているんだ。傘が貰えることを期待しなくてもいい。傘なら自分でさせるかもしれない。 ただ伝えてみる。雨が降ってるんだよね。どうしたらいいかわからないくらい雨が降っているんだ。止んだり降ったり忙しい。弱く、また強く。 伝えたら一緒に濡れてもらってもいいかもしれない。そのうちおかしくて笑っちゃうかもしれない。 手を伸ばしたその先に、誰か待っているかもしれない。人とは限らない。 音楽の中に、本の中に、街の中に、道端に。 まぁだいたいが人が作り出したものだけど。 雨の日はある。 今日が晴れでも明日はわからない。今日が雨でも明日はわからない。 雨の日。どうやって過ごそうか。ただやり過ごそうか。本でも読もうか。いっそ外に出ようか。 どうしたっていい。ハッキリとした雨だって、何かが混ざる雨だって。怖がってもいいし、怖がらなくてもいい。 いつ終わってもいい梅雨。 自然に終わるかもしれないし、私がいつか終わらすことが出来るかもしれない。 季節が繰り返し、もしまたやってきても。 何度でも自然の摂理。繰り返されようとも。 私は私のために生きることができる。 私に降った雨が教えてくれる。手を広げてごらん。君を守れる大きな傘を作って。誰かに手伝ってもらってもいい。その傘がいつか丈夫になったとき。 君も、君が守りたい誰かを君の傘に入れることができるかもしれない。 雨の日はある。 今日が晴れでも明日はわからない。今日が雨でも明日はわからない。 ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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