1/8ページ目 兄貴に幽霊ビルの話を聞いてから、もう三日が経った。言い出した本人はすっかり忘れているようだが、その方が都合がいいので、敢えて指摘するなんてことはしない。 だが、その努力(とは言えなさそうだが)はあっさりと打ち砕かれることになる。 「おい見ろよ、この辺りがテレビに出てるぞ!」 「え?マジでマジで!?」 画面を見ると確かにウチの近くが映っている。…少し嫌な予感がする。 キャスター曰く、 『最近、ここ○×町のあるビルの周辺で人が消える、という怪奇現象が起こっているらしいんです。通称「人食いビル」と言われて近隣住人から恐れられている、という噂です』 ピッ 「………」 「………」 しばしの沈黙の後、先に口を開いたのは兄貴だった。 「……いつの間にこの辺りはこんな有名になったんだ?」 「知らない」 「……ものすごい野次馬だったな」 「うん」 早々に消したテレビの画面にはかなりの人だかりが出来ていた。 「俺、久々に本気で、朝からこんなニュース報道するなって思った」 「というか、いつの間にか呼び方変わってたね。人食いビル、だってさ」 時刻は七時半。いつもなら登校している時間だ。 「本当に行くの?」 「どこに?」 「そこのビル」 外を指差して言う。 「先に学校行こうぜ」 「……そうだな」 思い出したようだが逆に少し怖気付いたようなので、結果的には良かったのかもしれない。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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