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【第2章】
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 兄貴に幽霊ビルの話を聞いてから、もう三日が経った。言い出した本人はすっかり忘れているようだが、その方が都合がいいので、敢えて指摘するなんてことはしない。
 だが、その努力(とは言えなさそうだが)はあっさりと打ち砕かれることになる。
「おい見ろよ、この辺りがテレビに出てるぞ!」
「え?マジでマジで!?」
 画面を見ると確かにウチの近くが映っている。…少し嫌な予感がする。
 キャスター曰く、
『最近、ここ○×町のあるビルの周辺で人が消える、という怪奇現象が起こっているらしいんです。通称「人食いビル」と言われて近隣住人から恐れられている、という噂です』
 ピッ
「………」
「………」
 しばしの沈黙の後、先に口を開いたのは兄貴だった。
「……いつの間にこの辺りはこんな有名になったんだ?」
「知らない」
「……ものすごい野次馬だったな」
「うん」
 早々に消したテレビの画面にはかなりの人だかりが出来ていた。
「俺、久々に本気で、朝からこんなニュース報道するなって思った」
「というか、いつの間にか呼び方変わってたね。人食いビル、だってさ」
 時刻は七時半。いつもなら登校している時間だ。
「本当に行くの?」
「どこに?」
「そこのビル」
 外を指差して言う。
「先に学校行こうぜ」
「……そうだな」
 思い出したようだが逆に少し怖気付いたようなので、結果的には良かったのかもしれない。
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