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誰でも釣行記
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時計を見ると、15時30分になろうとしている。「あと1時間・・。」焦りが生まれる。泡溜りを狙ったり、足元やサラシを狙うも、付けエサがそのまま帰ってくる。いったん竿を置き、周囲を確認した。すると、釣り場の左手を攻めていないことに気付いた。「一か八か・・。」潮が動いていないので、仕掛けをD-Flatzへと戻し、投入した。かなり深い。ウキが見えなくなってからも、足元にコマセを入れる。少しでも反応が欲しかったからだ。3投目、バチッとスプールに添えていた指が弾かれた。グ〜ッと竿が引き込まれる。足場が高いし、急斜面なので、前に出ることができない。そのまま耐える。キーンと音が鳴る・・メジナの引きではないことは、すぐに分かった。「でも、上げたい。なにか見たい。」ゴリ、ゴリッと瀬に当たっているのを感じる。「ダメか・・いや、いける。」強引に浮かせると茶色い姿が見えた。「最後の最後はバリだったか・・。」諦めの気持ち。でも、よく見ると姿が違う。無事にタモに収まったのは、『ハタ』だった。それが、分かったのは、管理人さんに鑑定を依頼した後だったが(笑) 時刻は16時30分、ここで納竿とした。それでもドラマは待っていた。釣り場を洗い流そうと、水汲みバケツに海水を入れ、引き揚げようとした瞬間・・ブチっと音がした。「あっ、切れた。」水汲みバケツは反転し、海に浮いていた。ある意味、今日の釣りの全てを物語っていた。しばらくバケツを眺める。「プカプカ気持ちよさそうだなぁ〜」なんて考えていたものだから、我に返った時には、タモは届かず・・。 帰り道、職場でお世話になっている看護主任に『ハタ』を渡した。「ありがとう。いいの?家の分が無くなるよ。せっかく頑張ったのに」と気遣いとねぎらいの言葉をもらった。 これでいいのである。趣味の時間を楽しみ、しかも、人に喜んでもらえる。メジナは釣れなくても、とても疲れても、まさに「心は錦」なり。 今日、職場のおじちゃんに言われた。「高い金出して、長い時間かけて・・スーパーで買った方がいろいろ買えるが。でん、それだけ好きやっちゃね〜」と。「そうなんですよ」と笑顔で答えながら、「次はどんな仕掛けで釣ろうかなぁ〜」なんて考えている自分がいる。
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