1/1ページ目 執筆:そらね蚊乃 「翔ちゃん、翔ちゃん?何ぼんやりしてるの?」 俺は今日写したノートの文面を眺め、考え事をしていた。四ノ宮那月がノートをのぞきこむ。「今日の生物のとこじゃん。」 「うん……。」 俺はまだ深く考えていた。 「わかんなかったの?」 「いや…まあ……。」 俺はハアとため息をついて、那月に尋ねた。 「結局さ。」 「ん?」 「あかちゃんって……どっから来るの?」 「…………。」 部屋の中は、一時無音となった。那月は俺の顔をポカンと見つめていたが、やがて腹を抱えて笑いだした。 「何で笑うんだよ!」 俺は至って真剣だった。 「いや、ごめんごめん。」 那月は小指で涙をぬぐって言った。「先生が説明してたじゃん。男子の精子と女子の卵子が結びあって受精卵となる。それが子宮の内膜に着床すると、妊娠という状態になる。」 那月は細かく説明した。今日教師がしゃべっていたことと全く同じだった。 「だからそれがわからないんだ。」 俺は頭を抱えた。「精子も卵子も、すごくすごく小さいだろ。それに、もちろん心臓も無いし手足も無いし、人間の形もしてない。なのに、どうしてそれが人間になるんだろう…。」 「生物学ってのは奥が深いね。」那月も頷く。「僕らだって、最初は卵だったんだよ?てか、生き物はみんなそうだよ。仕組みはよくわかんないけど。」 「まあ…な……。」 俺も頷く。 「あ、でもさ、これ聞いた話なんだけどね。」 那月は右手の人差し指をたてて言った。「女の方が気持ちいいと、男の子が生まれてくるんだって。」 俺は思わず吹き出した。 「何それ、根拠は!?」 「知らない。ほんとに聞いた話だから…。」 「てか気持ちいいって……どういうこと……!?」 「まあつまり、男の方がこう、女を強く攻める、って感じ?」 「はぁ……。」 「まあ迷信かもしれないけど。僕らは男だから、その辺りわかんないよね。」 「ああ…」 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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