図書室

我が儘な野獣〜御曹司編〜
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なにか、寮の部屋のドアを開く前に
良くない気配がした。




しかし、ここは俺の部屋でもあり、
入ることを躊躇う必要などない。

そう思ってドアノブを握った。


ガチャ


『………あ…』


…………開けなければ良かった…………!

俺はドアを力強く閉めた。


じ、神宮寺が、神宮寺の馬鹿が、
また女と生殖行為を働いていた。


部屋の前の廊下に座り込んで、
溜め息をついた。

…まったく、
ここはお前だけの部屋じゃないというのに。

そもそもあいつは恋愛禁止令と言うものを知らんのか。




しばらくすると、部屋から女子がおずおずと出ていった。

さっきより大きな溜め息をついて、
またドアノブを捻った。


「やぁ、おかえり」
そう言った神宮寺は衣服が乱れたままだった。
「……はぁ…」
「見られちゃったな」
「もうここではするなよ」
「…はいはい」

以前もそうやって言ってたのにこのざまだ。


「…軽そうな女だったな」
「え?」
「さっき部屋から出たのを見た。頭の軽そうな女だった。」
「…酷いなぁ…外れちゃいないけど」
神宮寺は口角を上げて言った。
「お前にぴったりだ」
「…ヤキモチ?」
「まさか」



神宮寺は服を整え始めた。
俺はまた大きく溜め息をついて服を着替えた。

お互い無言で静まり返った部屋に服の擦れる音が響いていた。



異様な気まずさだった。








夜になり、神宮寺が部屋から出ていった。



屋上にでも行ったんだろう。

改めて部屋に1人になってみると、
なんて奇抜な部屋なんだろうか。
俺達の性格を表したような部屋。

神宮寺のベッドに目をやると、言い様のない気だるさに襲われた。

この紫色のベッドで、何人の女子と身体を交えたんだろうか。
俺も泣かされたこのベッドで。
自分でそう考えたのに、吐き気がした。






神宮寺が帰って来た。

「…まったく、リューヤさんもおチビさんも、人使いが荒くて困るね」
「お前よりはマシなんじゃないか?」
いつものように嫌みを返しておいたが、なにか胸につっかえた気分だった。




「消灯だ、寝よう」





「…なぁ、聖川」
「なんだ」
「こっち来いよ」
「……は?」
「ん」

神宮寺が顎を使って俺をベッドに呼んだ。
内心不服だったが、まぁいいかと思ってベッドに入った。
男子二人が並んでも広々としているのは何故だろう。
神宮寺に肩を抱き寄せられ、額と額をくっ付けた。
「なぁ、聖川。」
「なんだ」
「好きだ」
「信憑性に欠ける」
「…ははっ、…ごめん、今日」
「……」
「浮気じゃないんだ」
「…浮気?…俺達は付き合ってもないんだから、浮気じゃないだろう」
「いや、浮気だ。聖川が好きで、聖川も俺が好きなのに、女とセックスするのは浮気だ」

……誰がお前を好きだと言った。

とは口に出さず、申し訳なさそうな神宮寺の顔を見つめた。

…以外と律義なところもあるんだな。

「……俺は、1人じゃ寝られないの、知ってるだろ」
「……ああ…」

神宮寺はあんなに普段チャラチャラしているくせに、内面は酷く脆く繊細なやつだった。

「昨日、聖川が帰ってくるのが遅かったから、女を1人呼んでたんだ。けど昨日は会えなかったから、さっき来てもらってたんだ」
「一緒に寝るのと…セックスするのは…違うんじゃないか」
「ああ、分かってる。ごめん、」
神宮寺に抱きしめられる。
「俺にはお前しかいないから。昔から。ずっと。」
「……ああ。」
甘えてきた神宮寺の頭を撫でてやった。

こいつのこんな面を知ってるのは俺だけかと思ったら小さく笑みが零れた。
「……なに?」
「…なにも…」
神宮寺も小さく笑って
俺の唇に蓋をした。









「……なぁ、いいだろ?」
「また寝れなくなるぞ」
「いいよ、スッキリするからね」
「……不純だ」









#我が儘な野獣〜御曹司編〜
作:御巫ここあ


あれ…なんかエロくないな…




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